リスティング広告

リスティング広告の予算の決め方、考え方についてマスターしましょう!

前回の記事では、リスティング広告の特徴について記事をまとめました。

前回の記事はこちら▼

「特徴はわかったけど、リスティング広告の予算はどれくらい必要なの?」というのが次に考える疑問だと思います。
予算がわからないと実際、利用するかしないかの判断ができませんよね。
今回の記事では、リスティング広告に必要な予算やその考え方についてお伝えいたします。

リスティング広告の課金形式とその特徴

前回の記事でも取り扱いましたが、もう一度、リスティング広告はどのようにして料金が発生するのかをおさらいしておきましょう。

  • クリック課金(Pay Per Click/PPC)
  • オークション形式
  • 出稿金額の下限なし
  • 自由なタイミングでの出稿・出稿停止

クリック課金(Pay Per Click/PPC)

web広告の課金形式は、以下のような種類があります。

  • 掲載期間保証型課金
    広告出稿とその期間に応じて課金する形式
  • インプレッション課金
    広告が1000回、表示された時点で課金する形式
  • クリック課金(Pay Per Click/PPC)
    広告がクリックされた時点で課金する形式
  • エンゲージメント課金
    ユーザーがSNSの「いいね」や「シェア」など一定のエンゲージメントを起こした時点で課金する形式
  • 成果報酬課金
    資料請求、会員登録、商品購入など、設定した目標行動をユーザーが起こした時点で課金する形式

上記の課金形式の中で、リスティング広告(検索連動型広告)は、広告がクリックされた時点で料金が発生するクリック課金(Pay Per Click/PPC)形式をとっています。

オークション形式

リスティング広告は一定の決まった料金がありません。
では、どうやって金額が決まっているかというと、オークション形式によります。
キーワードに対して1クリックあたりの希望入札単価を広告出稿者が提示していく形です。
入札単価よっては検索結果にトップ表示されることもあれば、全く掲載されないということもあります。

一つ特徴的な点なのは、入札単価が高ければそれだけ上位表示されるという訳ではなく、出稿する広告の「品質スコア」の影響を受けて順位が決定していくというところです。

「品質スコア」というのは、広告がどれだけキーワード検索結果としてふさわしいものになっているかという点を評価しスコア化したものです。
オークションではありますが、入札金額を高く積めばどのような広告でも出せるという状態を抑制しています。

「品質スコア」や入札金額などの兼ね合いによって「広告ランク」というランク付けが行われ、そのランクに従ってリスティング広告の表示順位が決まります。

「品質スコア」「広告ランク」の詳しい決定の仕組みは説明すると長くなりますので、また別の記事にて説明したいと思います。

なお、以下は「品質スコア」に関するGoogleのページです。

▶︎品質スコアについて

出稿金額の下限なし

リスティング広告には最低出稿料金というものは定められていません。1円からの料金で始められます。
ただし現実的には、十分なクリック単価を設定しないことには競合他社の入札に勝てませんし、ある程度クリックされないと目標達成にはつながらないので、それなりの運用費は必要です。キーワードや何を成果とするかによっても必要な費用は変わってきますので、そこは運用しながら見定めていく必要があります。

自由なタイミングでの出稿・出稿停止

リスティング広告は、掲載期間が決まっているわけではありません。自由なタイミングで始められて、自由なタイミングで止めることも、再開することも可能です。
予定していた期間よりも短くても、思わしい成果が上がっていないという場合は一度ストップして、運用について再考することできます。

以上がリスティング広告の料金の特徴です。

リスティング広告予算に関係する用語

リスティング広告の費用は、さまざまな評価基準を用いて考える必要があります。

しかし、その評価基準の用語は英語の頭文字で表現されていることが多いため、リスティング広告初心者ですと混乱してしまうことが多々あります。
ここで一度、それらの評価基準の用語をまとめて理解しておきましょう。

CPC
Cost Per Click(コスト・パー・クリック)の略。1クリックを獲得するのにかかったコスト(単価)のことを言います。
CV
Conversion(コンバージョン)の略。直訳すると「転換」の意ですが、web用語としては顧客獲得のことです。具体的には、購入申込、問い合わせや資料請求などです。何を顧客獲得(コンバージョン)とするかは案件ごとに変わります。
CPA
Cost Per Action(コスト・パー・アクション)の略。アクションとは顧客獲得(コンバージョン)に繋がるアクションのことで、CPAは、顧客獲得単価(コンバージョン単価)のことを言います。
ROAS
Return On Advertising Spend(リターン・オン・アドバタイジング・スペンド)の略。投資した広告費に対して、どれほど売上がでたかを見るための指標です。

次以降の章でこれらの略語が登場しますが、わからなくなったらここへ戻って、確認しながら読みましょう。

リスティング広告予算の決定基準

リスティング広告予算の決定基準


では、リスティング予算はどのように決定していったら良いのでしょうか。
「これくらいバジェットがあるからとりあえずリスティング広告に30万円くらい使ってみようか」という発想もありますが、それではリスティング広告の運用を成功に結びつけることはできません。

リスティング広告の予算を決めるにあたって、明確な一つの基準があります。
それは、

目標CPA × 目標コンバージョン数 = 広告予算

という公式です。

CPAとは何でしょうか。前項で説明しましたね。顧客獲得単価のことです。
顧客獲得=コンバージョンなので、コンバージョン単価とも表現できます。

すなわち

目標コンバージョン単価 × 目標コンバージョン数 = 広告予算

ということになります。

前述の通り、コンバージョンは、お問合せ、資料請求、申込み、購入行動など案件によって該当するものが変わりますが、それらがどれくらい欲しいかの目安が目標コンバージョン数になります。
こちらは、営業計画などでおよそ決めていることが多いかと思います。

問題は、目標コンバージョン単価(目標CPA)の方です。
何を目安にどうやって決めたらいいのでしょうか。

目標コンバージョン単価(目標CPA)の決め方

目標コンバージョン単価(目標CPA)の決定方法は、案件や商材の特徴によって異なります。
どんな場合にどのような決め方をするのか、事例に沿って具体的に見ていきましょう。

単発の高額商材のケース

例えば、デジタルカメラやパソコン、テレビなど単価が高めで、そうそう繰り返し買わないような商材の場合の目標コンバージョン単価(目標CPA)はどのように割り出したらいいでしょうか。
ご想像の通り、この場合は非常にシンプルです。

(顧客平均単価) ー (原価+販管費の平均) = 目標コンバージョン単価(目標CPA)

つまり商品の販売利益の部分を超えない金額が目標コンバージョン単価(目標CPA)ということです。
これを超えたら当然、赤字になります。

低単価のリピート商材のケース

低単価のリピート商材と言ったらどのようなものでしょうか。
まず日常生活雑貨や食品などでしょう。石鹸、シャンプー、洗剤、調味料やお茶などを思い浮かべてください。
あとは近年では動画サービスや有料スマホアプリなどのサブスクリプション商材などもこのケースに含まれます。

このケースでは、ライフタイムバリュー(Life Time Value/LTV)という概念を用いて目標コンバージョン単価(目標CPA)を出すのが良いと言われています。

顧客に一度購入して気にいってもらえれば、次は広告費をかけずに繰り返し買ってもらえると期待できる商品で、その回数分の収入も考慮に入れるという考え方です。

どのように計算するかですが、サブスクリプション商材をもとに考えてみましょう。

・月額1,000円の動画サービス
・利益率は20%
・毎月10%の人が解約

という想定で考えます。

まず、こちらを初回契約のみを視野に入れてコンバージョン単価(CPA)を考えると次のようになります。

料金1,000円 × 利益率20% = 200円

コンバージョン単価(CPA)は200円が上限となります。

しかし、契約継続を想定した場合、新規獲得コストはかからないため、その分も含めてコンバージョン単価(CPA)の上限を考えることができます。
「毎月10%の人が解約」というデータを考慮に入れると次のような計算になります。

料金1,000円 ÷ 解約率10% × 利益率20% = 2000円

解約率が10%なので、平均10ヶ月は契約継続すると考えられるので、このような計算になります。

1,000円の契約に対して2,000円のコストを使うというのは一見するとおかしな計算のように見えますが、継続性を考えると充分検討できる予算感だと言えます。
これがライフタイムバリュー(Life Time Value/LTV)を考慮に入れた予算の考え方です。

コンバージョンが売上確定に設定されていないケース

オンラインでのやりとりでは契約が完結しないケース。資料請求や問い合わせ以降は対人、オフラインで対応してクロージングする必要がある場合です。不動産業に一番当てはまるパターンです。
この場合は、接触をした顧客数に対しての成約率を計算に入れます。

平均顧客単価 × 利益率 × 接触後の成約率 = 目標コンバージョン数(目標CPA)

例えば、成約した場合の売上が100万円で利益率が30%だったとします。
そして、資料請求やお問合せ後の成約率が10%だったとします。

そうしたら、以下のような計算になります。

100万円 × 30% = 30万円
30万円 × 10% = 3万円

この場合、3万円以内でコンバージョンをしないと平均としては赤字ということになります。

目標コンバージョン単価(目標CPA)とROAS

繰り返しになりますが、コンバージョン(顧客獲得)1件に対して、どれくらいのコストがかかっているのかという数値が、「コンバージョン単価(CPA)」です。
ただし、この数値だけではリスティング運用がうまくいっているのかを判断するのに十分ではありません。

CPAに加えて、ROASといった指標を用いることで多角的に運用を見直すことができます。
上にも記述されていますが、ROASの説明をもう一度、確認しましょう。
 

ROAS ・・・ Return On Advertising Spend(リターン・オン・アドバタイジング・スペンド)の略。投資した広告費に対して、どれほど売上がでたかを見るための指標です。

具体的にどういうことでしょうか。
事例をもとに見ていきましょう。

化粧品A ・・・ 価格3,000円
化粧品B ・・・ 価格1万2,000円  
化粧品C ・・・ 価格7,000円 

例えば、以下のような結果でコンバージョン単価(CPA)だけを計算したとします。

化粧品A ・・・ ◼︎クリック数 > 500円 ◼︎広告コスト > 25,000円 ◼︎CV数 > 10 ◼︎CPA > 250円
化粧品B ・・・ ◼︎クリック数 > 500円 ◼︎広告コスト > 50,000円 ◼︎CV数 > 10 ◼︎CPA > 500円
化粧品C ・・・ ◼︎クリック数 > 1,000円 ◼︎広告コスト > 50,000円 ◼︎CV数 > 25 ◼︎CPA > 200円

目標コンバージョン単価(目標CPA)を300円に設定していた場合、化粧品Bはリスティング広告を止めたほうがいいという判断になります。しかし、ROASも考慮に入れると少し見え方が異なってきます。

以下が、ROASの求め方です。

ROAS = 売上  ÷  広告費 × 100%

広告費が売上を上回っていると100%を割ってしまうので、当然赤字ということになります。
しかし、この計算には人件費などの諸経費は含まれていないため、単純に100%を超えていればいいという話ではありません。
そこも200%や300%など上振れした設定が必要です。

今回は200%を目標値として設定してみましょう。

化粧品A ・・・ ◼︎クリック数 > 500円 ◼︎広告コスト > 25,000円 ◼︎CV数 > 10 ◼︎CPA > 250円
◼︎単価 >3,000円 ◼︎売上 >30,000円 ◼︎ROAS >120%
化粧品B ・・・ ◼︎クリック数 > 500円 ◼︎広告コスト > 50,000円 ◼︎CV数 > 10 ◼︎CPA > 500円
◼︎単価 >1万2,000円 ◼︎売上 >120,000円 ◼︎ROAS >240%
化粧品C ・・・ ◼︎クリック数 > 1,000円 ◼︎広告コスト > 50,000円 ◼︎CV数 > 25 ◼︎CPA > 200円
◼︎単価 >7,000円 ◼︎売上 >175,000円 ◼︎ROAS >350%

ROASで考えると、目標コンバージョン単価(目標CPA)では数値が目標以下だった、化粧品Bは目標値を超えています。
さらに目標コンバージョン単価(目標CPA)では問題のなかった化粧品AがROASでは目標を下回ってしまっています。
このように目標コンバージョン単価(目標CPA)だけでは見えない部分がROASでは明らかになってきます。

まとめ

上記のようにいろいろな要素を考慮しながら、リスティング予算を算出していくことが必要ですが、全ての基本は以下の式からというのは共通しています。

目標CPA × 目標コンバージョン数 = 広告予算

リスティング広告の予算はなんとなく設定するのではなく、分析をしながらしっかりと管理していくことが重要だということをこの記事でご理解していただければと思います。

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