不動産人材の求人採用

新入社員の育成担当者、上長に抑えて欲しい人材育成コミュニケーションの鉄則

不動産業界は実力主義が主流の業界で、新人は自らの力で成長していくものという考え方も根強いのではないでしょうか。しかし、少子高齢化で若年層の採用が難しくなっている昨今、採用にかかるコストと労力は以前と比べ物にならないほど増大しています。優秀な人をいかに採用していくのかも大切ですが、採用した人をいかに離職させないで一人前に育てていくかという技量も企業側に問われています。そこで今回は、人材育成に必要な心構えや育成のポイントについて解説していきたいと思います。

新人育成がうまくいかない職場

まずは、新人育成がうまくいかない傾向にある職場環境の特徴についてお伝えしていきます。

新人の前提知識に配慮しない

新入社員に指示を出すとき、専門用語を多用したり、業界や会社のローカルルールを知っている前提でお話ししているケースはありませんか。社内では当たり前のことであっても、業界の外から来た新人にとっては初めてのことばかりです。たとえ知っていれば大したことないことであっても、それが理解できないことで新人は強いストレスを感じます。
「わからないことは聞けばいい」と思うかも知れませんが、当たり前の前提で話されている内容を理解できていないと引目を感じて質問しにくいものです。
さらに、知らないことが多い状況下だと「自分は何をわかっていないのか」、「何を質問したらいいのか」がそもそもわからないという場合もあります。このような状態のまま放置されると、仕事を続ける自信を失ってしまう新人も少なくないでしょう。

社内コミュニケーションが乏しい

入社してから会話をするのは直属の上司のみ。部署の他のメンバー、他部署の人は忙しそうにしていて話をしたこともない。そのような職場も新人にとってあまり良い環境とは言えません。周囲の社員はひたすら自分の仕事をしているだけであっても、新しい環境に入ったばかりの新人はその環境に対して強い疎外感を覚えます。
さらに、周囲との関わりが一切なければ、育成環境が直属の上司の能力や人間性に大きく影響を受けてしまい、上司とタイプや性格が合わない場合、業務を身に着けるのに支障が出てくることが考えられます。

仕事のバックグラウンドを説明しない

「これやっておいて」と新人に作業の指示だけを出して、それ以上のことを説明しないというタイプの方がいます。作業自体はできるので仕事に支障はでませんが、その新人はいつまで経っても業務の全体像を理解できないままになってしまい、独り立ちに繋がりません。多少面倒でも一体どうしてこの仕事をやる必要があるのか、一つ一つ説明をすることが育成の近道になります。
さらに、自分はどんな仕事をやっているのかを理解することは仕事のモチベーションにも関わってきます。
仕事のモチベーションにまつわる例え話で、大聖堂を建築する作業員の話があります。ある人が大聖堂建築現場の作業員に「何の仕事をしているのですか」と尋ねるとある作業員は「ただレンガを運ぶだけの仕事だ」と答えました。それに対し、別の作業員は「数100年後に残る偉大な建物を作る仕事だ」と答えたという話です。
同じ仕事をしていても、前者の作業員よりも後者の方がより高いモチベーションを持って仕事をしているのは間違いありません。一つ一つの仕事は何のために行われているのかを伝えるのは新人育成の上でとても重要です。

不動産_社内研修

「心理的安全性」(psychological safety)

「心理的安全性」とは、周囲の人たちの反応に恐れや不安を抱いたり、羞恥心を覚えたりすることなく、自然体の自分を出せる状況のことを言います。
アメリカのGoogle社が2015年に「心理的安全性」が「成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表して以来、非常に注目されている概念です。
育成がうまくいかない職場環境にはさまざまな要因が挙げられますが、根底には「心理的安全性」が欠落していることが考えられます。「心理的安全性」を醸成するにはどのような職場環境、育成環境が必要なのでしょうか。その点も次の章で考えたいと思います。

新人育成で忘れてはいけない姿勢

新人のことをしっかり知る

一つの業界や会社に慣れ過ぎてしまうと、他の環境で過ごしてきた人との考え方や価値観の差異を自覚できなくなりがちです。さらに若手を採用する場合、ジェネレーションギャップなども意思疎通を阻害します。お互い分かり合えていないという前提で、まずは新人がどういう経歴で、どのような考え方をするのかをイチから理解することが必要です。
月一度などのペースで上長面談を設ける、お茶会やランチパーティなど、仕事と関係ない話もできる場を設けるなど、新人が自らのことを話しやすい機会を作ってあげることで、業務だけではわからないことも理解ができるようになるはずです。

新人が馴染める雰囲気を作る

新人の「心理的安全性」を醸成するためには、「自分はこの環境で歓迎されている」と感じられるようにすることが必要です。「心理的安全性」が醸成されていない環境はその場にいるだけで、緊張の連続です。日々の業務で忙しくて充分に相手ができないとしても「仕事には慣れた?」など簡単な声がけだけでもして、意識的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
なお、社員、個々人の意識付けだけでは環境作りは簡単ではありません。後述のメンター制度を設けるなど、社内制度で環境作りをしていくのも良いでしょう。

目標を共有する

前述の通り、仕事のモチベーションを上げるためには、「自分はこの仕事を通じて何を成そうとしているのか」を知っていることがとても重要です。会社の目指すところをしっかり理解してもらうことも必要ですが、それと同時に「この仕事を通して自分自身はどのように成長をしたいか」という個人の視座で目標を持ってもらうことも大切です。そういった個人目標は、半期、4半期などのタイミングでしっかり考えられるように社内で研修制度を組むことが好ましいです。

実際にやらせる

新人育成では、仕事ぶりを見せてその説明をするだけではなく、実際にやらせてみるということも必要です。何をやったらいいかを全部指示してしまうのではなく、仕事のヒントだけを与え、自分で考えさせるというやり方が好ましいです。自分で考える習慣が備われば、あとは自ら自然に成長する人材になってくれることでしょう。

フィードバックをする

実際にやってみて、それだけで終わらせた場合には学習効果はあまり期待ができません。その仕事の何が良かったか、悪かったか、どのような改善余地があるのか。そのようなことについてフィードバックをする機会を設けることが重要です。しかし、フィードバックが一方的な頭ごなしになるのには注意してください。まずは新人に自ら問題点を考えさせてから、答え合わせのようにアドバイスをするのが良いでしょう。

新人育成に役立つ社内制度

メンター制度

メンター制度とは、年齢や社歴の近い先輩社員(メンター)が新入社員を専属サポートする制度のことです。直属の上司とは、なんでも相談できる関係を築くのが難しいということを踏まえ、新人がもっと気軽に相談したり、アドバイスを求めることができる存在を社内に置くことで、新人育成を柔軟で風通しの良いものにしようという狙いがあります。
メンターとなる先輩社員は、新人の所属とは異なる部署から選ばれるのが一般的です。仕事の利害関係がない方が気後れせず相談しやすいと考えられるからです。
メンターの存在は、新しい環境に慣れるまでの新人の緊張状態を緩和し安心感を与えてくれるものとして早期離職の防止に役立つのに加え、社内の社員間コミュニケーションを活性化する効果もあります。

OJT制度

OJTとは、「On the Job Training」の略で、先輩や上司の実際の業務を通じて、仕事のスキルや知識を身につけていく教育方法です。現場での業務の進め方を見ることで、座学では学びきれない実務のポイントを学んでいけます。OJTは、新人をただ仕事に同行させればいいというものではなく、指導する側が新人に何を身につけさせるかという狙いをしっかり考えた上で計画的に実施する必要があります。自身の業務の忙しさに追われるあまり、計画性のない場当たり的なOJTを行ってしまっているケースも多いですが、教育効果が低くなります。担当者には、研修教育の一環であるということしっかり自覚して取り組んでもらうようにする必要があります。

不動産_社内研修

まとめ

同じ業界、同じ会社で長年働いていると、業界慣習や社内環境が当たり前のものになっていきますが、他の環境から入ってくる新入社員はそのように感じていません。そのことを常に忘れないようにすることが新人育成で最も大切なことの一つです。
個々人の社員の意識だけでは均一な育成体制を保つのは難しいため、様々な社内制度を作り仕組み化していくのが良いでしょう。

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