さまざまな業界において「マーケティングオートメーション」を導入する企業が増えている傾向にあるのは、みなさんすでにご存じでしょうか?
めまぐるしく変化する社会の中で、人々のニーズは多様化し、情報収集の手段も大きく変化しました。以前と同じ方法では顧客を獲得することが難しくなり、営業やマーケティング担当者に求められる仕事は複雑かつ膨大になっています。そして、その問題に対処するための有効な方法として、いま注目されているのが「マーケティングオートメーション」です。今回はこの「マーケティングオートメーション」についてご紹介します。
マーケティングオートメーションとは何か?
マーケティングオートメーションとは、その名の通りマーケティングを自動化するためのシステムです。ソフトウェア型のツールやクラウド型のものもあり「MA」または「MAツール」とも呼ばれています。アメリカで誕生し、2014年頃から日本でも知られるようになりました。
マーケティングオートメーションに対する注目が高まってきている要因としては、インターネットの普及、とりわけ多くの方がスマートフォンやSNSを利用して簡単に情報を得られるようになったことが挙げられます。
過去において情報を得る手段はテレビやラジオ、新聞などが中心でした。そのため企業はそれらのマスメディアを利用して大量の広告を流し、興味を持った人にさらに情報を与えることで顧客を獲得できましたが、現在、人々はウェブサイトやSNSを通して大量の情報を能動的に得るようになりました。何らかの契約や購入を考える場合、まず事前にインターネットで情報を集め、商品の詳細情報やレビューなどをよく見て検討するのが一般的です。その変化に対応するためにマーケティング活動にも多くのことが求められるようになったことは言うまでもありません。
最近のWebマーケティングは、まず自社のウェブサイトを訪れた人など、契約の可能性がある見込み客が何に関心を持っているかを調査しなければなりません。
そして、それぞれの見込み客の関心をさらに高めるために必要な情報を適切な方法、最善のタイミングで発信することがWebでの基本的な集客作業です。この集客活動は膨大な仕事量であるため、多くの人件費がかかり、営業やマーケティング担当者の負担も大きくなるため、これらの作業すべてを自動化できる「マーケティングオートメーション」のシステムを導入する会社が増えてきました。
このマーケティングオートメーションの導入によって仕事の効率が上がり、人件費も削減できるためとても人気が高まっている現状です。
マーケティングオートメーションでできること
マーケティングオートメーションのシステムを提供する企業によって機能は多少異なりますが、どのシステムも集客に役立つ多くの機能を搭載しています。全ての機能をここで説明するには膨大な情報量になってしまうので、集客に役立つ主要な機能にしぼってご紹介します。
①見込み客の管理
主な機能の一つは「見込み客の管理」です。
単に自社ウェブサイトを訪れた人のリストを作成するだけではありません。その人の企業情報や個人情報、さらにはどのリンクをクリックしたか、ダイレクトメールを開封したかなど、ウェブ上の行動記録も管理してくれます。それによって見込み客が何に関心があるのか、どの程度関心があるのかが分かりますし、特定のタイプの見込み客をリストから抽出することも可能です。
②メール自動配信
もう一つの重要な機能は集客のための「メール自動配信」です。
見込み客の関心をさらに高めるためにダイレクトメールを送る場合、すべての見込み客に同じメールを一斉に送るのはあまり効率が良くありません。
例えば、土地情報のページを何度も見ている見込み客に対し「土地情報関連」のメールを送れば開封する可能性が高く、関心を高めることができますが、賃貸アパートのページを見ている見込み客に対して同じメールを送っても開封する可能性は低くなります。そして、興味がない内容のメールを何度も送っていたら印象が悪くなり、逆効果になるかもしれません。
こういったことからメール配信の内容と相手が一致していないと効果がゼロに近くなるので、特定のメールを指定したタイミングで、指定した見込み客に自動配信できる「マーケティングオートメーション」のメールシステムを利用するのが効果的です。
例えば、Web上で資料請求をした人に対して「すぐにダイレクトメールを送る」→「メールを開封したら次のメールを送る」という指示設定が可能なので、最初に設定だけすれば見込み客の関心を自動で育てることができます。
③スコアリング
「スコアリング」という、見込み客の関心度を可視化する機能も非常に便利です。
見込み客が何回ウェブサイトを閲覧したか、メールを開封したか、資料請求したかなどの行動に応じてポイントが加算されます。何ポイント獲得しているかを見れば、それぞれの見込み客の関心がどれほど高いか、いま誰にアプローチすべきかを知ることが可能です。見込み客が特定の行動をした場合に、自動で営業担当者に連絡する機能もあるため営業業務の効率化にも貢献します。
今ご紹介した機能の他にもウェブサイトや登録フォームの作成、SNSの管理機能もマーケティングオートメーションのシステムには搭載されており、これらの便利な機能を活用することによって、質の高い見込み客リストを作成することができ、効率良く集客を行うことが可能になります。
マーケティングオートメーションを導入するメリット・デメリット
マーケティングオートメーションは便利な集客ツールですが、もちろんメリットとデメリットがあります。ある程度の費用がかかるツールなので、導入前に十分に検討するのが最善です。
では一体どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?
メリット
導入の大きなメリットとして業務の効率化があります。見込み客それぞれの行動を調査し、関心を見極めて高めるための情報を配信するのは、非常に骨の折れる作業です。
その作業は見込み客が増えれば増えるほど膨大になり、多くの人員を割く必要が生じます。これらの作業を自動で行うことができれば、営業やマーケティング担当者の負担は減り、空いた時間に他の業務を行うことが可能になります。
もう一つのメリットはリストの管理力向上です。リストの見込み客に対して適切な情報提供を続けることで、見込み客の関心を育て、契約の可能性が高い見込み客を増やすことができます。そしてリストの質が上がるなら、収益アップにもつながります。
また、リストが多くなり過ぎるとあまり関心がない見込み客の存在を忘れてしまいがちです。何もアプローチできず、最終的に他の企業に顧客を奪われる可能性もでてきます。しかしマーケティングオートメーションのツールでリストをちゃんと管理していれば、リスト上の見込み客すべてに適切な行動を取り続けてくれるので、見込み客の取りこぼしを防止できます。
デメリット
マーケティングオートメーションのシステムによって、個々の見込み客の関心を高めることができますが、そのためのコンテンツを豊富に用意する必要があります。
一人一人の関心の種類は幅広く、関心の度合いも様々なため、それに応じた内容のメールやウェブページを作成するには労力が求められます。
ただしコンテンツを充実させるなら収益の増加を見込めるので、このツールを導入する企業にとってコンテンツ作成は必要な業務です。他の業務の自動化によって確保できた人材を、コンテンツ作成に割り当てることができるはずです。
また多彩な機能を十分に活用できない場合もあります。機能を把握できないと、ただ導入しダイレクトメールの配信に使用するだけになる可能性もあります。マーケティングオートメーションの機能を十分に活用するには高い知識が必要です。社内で人材を育成するか、新たな人材の雇用するか・・・など、余分なコストがかかる可能性があるので、導入前には社内で十分に検討することをお勧めします。
まとめ
多くの人がスマートフォンを使用し、インターネットやSNSで情報を取得するようになりました。時代の変化に順応したマーケティング活動を行うことは、企業が成功をつかむための大切な鍵です。
マーケティングオートメーションは、多くの業務を自動化できる便利なツールです。またそれだけでなく、個々の見込み客の行動を調査し関心を高めるという、新たな手法のマーケティング活動を行うための、強力な助け手です。
マーケティングオートメーションを提供する各企業のシステムは、搭載している機能が異なっていますし、導入費用にも差があります。
マーケティングオートメーションのメリットとデメリットを詳細に把握し、使い方をよく理解することも大切です。自社が必要とする機能や導入時、導入後のコストもよく検討し、最適なマーケティングオートメーションツールを見つけましょう。