営業ノウハウ

IT重説の今後の課題点とは?

前回は「IT重説のやり方」「メリット・デメリット」をご紹介しましたが、今回は「IT重説の今後の課題」について解説いたします。

▼前回の記事「IT重説の流れ・やり方」についてはこちらをご一読ください

▼前々回の記事「IT重説のメリット・デメリット」についてはこちらをご一読ください

IT重説の今後の課題

IT重説はメリットが多いため、今後の利用はさらに広まっていくと考えられていますが、以下のような課題も残されています。

課題① 手軽であるがゆえに内容が軽視される

IT重説は手軽であるがゆえにお客様が大事な内容を聞き逃してしまう可能性があります。お客様が自宅でIT重説を受ける場合は、対面の場合に比べてお客様がリラックスしているため注意が必要です。IT重説実施後に「その内容はまったく聞いていない!」といったクレームが入る可能性も十分にあります。不動産会社の方は事前にお客様とのコミュニケーションを徹底し、IT重説の重要性を理解してもらったり、録画・録音でIT重説中のやり取りをデータ化するなど幾つか対策を取った方が良いと思います。

課題② 書面のデジタル化は禁止

ご存じのように「重要事項説明書」は、取引士が記名押印をした上で書面にて交付する必要があります。これは「宅建業法」において「重要事項説明書は書面」として定められているので、電子データでの送信は法的に禁じられています。今後の法改正を待たなければならない課題のため不動産会社側はうっかり電子データを送信する事のないように留意してください。

課題③ お客様のIT環境が必須

IT重説は不動産会社側、そしてお客様側のIT環境が充分でなければIT重説は実施できません。インターネット環境が不安定な場合もビデオ通話中の回線トラブルの原因となり、IT重説をおこなうには難しい環境だと言えます。不動産会社側がいくら努力しても手の及ばない部分であり、お客様側の対応待ちになることも課題の1つと言えます。

問題なくIT重説を実施するにはIT環境の整備が必要となります。そこで次は「IT重説をおこなう際のIT推奨環境」をご紹介したいと思います。

IT重説をおこなう際のIT推奨環境


IT重説をおこなう上で、IT環境に関しては一定水準を満たしていることが求められます。以下の点に注意してIT環境を整備しましょう。

端末

IT重説で使用する端末(PC、タブレット、スマートフォン)や使用するOSの種類は特に制限はありません。インターネットに接続するため、セキュリティが確保できる端末が必要となります。OSについても提供事業者がセキュリティサポートをしているものを利用するのが良いでしょう。

ディスプレイ

画面の大きさや機能、解像度等について十分な性能が必要となります。特にお客様側は取引士証に記載されている文字がはっきり確認ができる状態が求められます。また、画面上で見取り図などを表示させて説明する場合は、これらの資料を視認できる画面の大きさは必要になってきます。

カメラ

解像度等、十分な性能が必要です。ディスプレイと同様に、取引士証や説明の際に使用する図面などを表示する必要があるため、鮮明に表示できるカメラがあるとベストです。

マイクとスピーカー

取引士とお客様の音声を判別するのに十分な性能を有する必要があります。最近の端末(PC・タブレット・スマートフォン)はすでに内蔵されているマイクとスピーカーの性能が平均的に良いため問題なくビデオ通話はできますが、昔の端末を使用している場合はIT重説で使用可能かどうか事前テストが必要です。また外部接続のマイクは音声が正しく出力されるかを事前確認しましょう。

インターネット回線

基本的に光回線を使用すれば問題なくIT重説はおこなえますが、地域、ロケーション、雑踏などの状況によってインターネット回線の速度が維持できない場合もあります。光回線を契約していないお客様の場合は4G以上の回線であれば通信速度・通信容量など問題ないと思います。

セキュリティの確保

重要な個人情報も含まれるやり取りになるために、セキュリティの確保を心がける必要があります。不動産会社側はもちろんのこと、お客様に対しても「無料のWi-Fiスポットなどからのアクセスは避ける」といったセキュリティ関連のアナウンスをしてください。

まとめ

IT環境さえ整っていれば時間と場所を選ばずにおこなえるIT重説。従来よりも手軽に契約できる利便性から、これからもニーズは高まりどんどん普及が進んでいくと考えられます。まだIT重説の課題はありますが、日々実施していくことで業務フローやサービスなどが改善されて課題が解決されていくでしょう。IT重説導入は、集客力向上のチャンスなので、どんどん取り入れていくことをお勧めします。

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